農林中金<パートナーズ>(NVIC)が展開する投資信託の「おおぶね」シリーズが面白いのでご紹介します。
最近、及川光博さんを起用したCMを展開されているのでテレビなどで見た方もいるかもしれませんね。そう言えばテレビCMをする投資信託も珍しいかもしれません。
投資信託マニアからすればCMに無駄なコストを掛けるなと言われそうですが、USJのマーケティングで成功した森岡毅氏のマーケティングによるものですので、勝算があってのことと思います。
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投資信託「おおぶね」シリーズの運用レポートの一読をおすすめします!
出典:「おおふね」目論見書
今回、この投資信託の取り組みをブログで取り上げた理由として、毎月の運用レポートが他の投資信託と違い、かなり異質だからです。
同投資信託の毎月の運用レポートに、この投資信託のCIO(投資責任者)である奥野一成氏の「当ファンドの保有数」・「平均取得価額」・「累積リターン」を開示しております。開示している理由などは後述のインタビュー記事の引用から見て取れます。
運用責任者が前に出る投資信託はそれなりありますが、毎月の懐事情を開示する投資信託は日本ではなかなか珍しい開示かなと思いました。開示全体もかなり面白いので、投資信託に興味がない方も、教養として一読することをおすすめします。
投資信託「おおぶね」の運用責任者の奥野一成さんてどんな人?
出典:SBI証券
同投資信託を販売するSBI証券にインタビュー記事がありました。インタビューを見ると文面から関西人雰囲気をすごく受けます。
基本的な投資方針は安く買って高く売る株券の売買が投資ではなく、投資とは企業のオーナーになることという基本的な考え方を日本でも広めたいと言う方向性のようで、ウォーレン・バフェットに考え方は近いのかもしれません。
このファンドは私の生き方そのものなんです。今の私はこのファンドに時間もお金も“オールイン”している状態です。具体的には、このファンドのファンドマネージャーであり、投資家であり、NVICの経営者であり、そして株主でもあります。自分がやりたいからやっていることなので、もしNVICという会社が無くなっても、一人でやっているんじゃないでしょうか。一人でもやるけれど、想いを共有できる人たちが集まってきてくれたら良いなと思っています。(出典:SBI証券)
投資信託「おおぶね」シリーズのマーケティング
この「おおぶね」シリーズのマーケティングはとても興味深いです。テレビCMやYoutubeなどを使った広告を展開しています。この投資信託はUSJのマーケティングで成功された森岡氏との協業が随所に見えます。
まずファンド名の「おおぶね」も森岡氏の会社である刀による名付けです。由来としてはNVICがその哲学に掲げている「長期厳選投資」の本質を、消費者の方に分かりやすく理解いただきたいという想いを「大船(おおぶね)に乗ったつもりで」と言う単語に載せたものです。(参考:刀のプレスリリースより)
出典:日経トレンド
森岡氏と奥野氏のインタビューによると、「長期投資の思想を日本に広めてたい」「金融機関と消費者の間にある、あまりに酷い情報の非対称性を解消したい」と言う志のようなものを感じることができます。そう言った志から、このようなマーケティングが展開されているのだと思います。
一般的にこう言うったコストを掛けると言うことは、それだけ信託報酬に跳ね返ってくるので、本質的にはオススメできない行為ですが、一定のマーケティングをした上で、信託報酬もアクティブファンドとしては相対的に割安な1%を切る水準に抑えられています。
投資信託「おおぶね」シリーズの運用哲学に共感しました
<おおぶねシリーズの運⽤哲学>
NVICが運⽤するファンドが保有する企業は、持続的に企業価値を増⼤できる「構造的に強靭な企業®」であり、⾃社が稼ぎ出す営業利益の蓄積に伴い、結果として時間の経過とともに⻑期趨勢的な株価の上昇を⾒込むことができると考えております。後で詳述するような素晴らしい経済性を有した企業を⾒つけてしまえば、その株券を売買する必要などなく、単にオーナーとして保有すれば良いのだ、という考え⽅こそが、「売る必要のない会社しか買わない」と表現している哲学なのです。
受益者である皆様には、私たちのファンドを通じて「構造的に強靭な企業®」のオーナーになって受益者である皆様には、私たちのファンドを通じて「構造的に強靭な企業®」のオーナーになっていただき、このような素晴らしい企業の経済性を享受していただきたいのです。そうすることで、相場の中短期的な変動に⼀喜⼀憂することなく、⻑期的に安⼼して資産形成をしていただきたいと考えております。(出典:「おおふね」目論見書)
目論見書を読んでさらに共感しました。同社は企業のポイントを以下の3つで見ています。
「付加価値の⾼い産業・事業であること」
「圧倒的な競争優位性を持つこと」
「⻑期的な潮流に乗っていること」
「投資哲学」と「構造的に強靭な企業」と言う2つのポイントに忠実に沿った企業の捉え方をしており、長い目線での投資においては同社の目線というのは非常に共感が持てました。
投資信託「おおぶね」の投資先を見てみよう
企業名 | 業種 | 組み入れ比率 |
キーエンス | 電気機器 | 1.4% |
東京エレクトロン | 電気機器 | 1.4% |
SBI HD | 証券・証券先物取引 | 1.4% |
良品計画 | 小売業 | 1.4% |
パーク24 | 不動産業 | 1.3% |
ナブテスコ | 機械 | 1.3% |
日東電工 | 化学 | 1.3% |
信越化学工業 | 化学 | 1.3% |
日産化学 | 化学 | 1.3% |
MonotaRO | 小売業 | 1.3% |
おおぶねJAPAN(⽇本選抜)の4月のレポートによる同社の組み入れ上位10社です。
同社は東証の2,000社から競争力のある80社程度をピックアップして組み入れしているようです。原則として流動性がある銘柄は組み入れ比率に強弱を付けない(ウェイト差を設けない)のが特徴のようで、比率は1.3~1.4%ばかりです。
上位銘柄を見ても半分ぐらいは他の投資信託と少し差がありますね。(トヨタとかがいない)
今後も、株価変動で組み入れ銘柄が変わるでしょうから、その都度見ていきたいと思います。
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